(掲載日2009.08.04)
レポーター : 法務研究科3年次 山岸勇紀
リーガルクリニック(Legal Clinic)は、「法律に関する臨床講義」と訳すことができます。つまり、学生が、実際に法律実務に臨むことにより、それまで学んだ法律知識を実践的な知識として身に付けることを目的とした講義と言うことができるでしょう。
指導担当の川添利賢教授
講義では、まず、受講生の中から担当者が選ばれ、指導担当教員の行う法律相談に同席し傍聴します。傍聴を終えた担当者は、相談案件について、その事実関係、相談内容等について受講生に報告をし、受講生全員で回答案を検討していきます。実際の法律的紛争を検討するため、担当の受講生に限らず全受講生が緊張感をもって講義に臨んでいます。そのため議論がエキサイトすることも多々あります。そして、ある程度の回答案が出されたところで、指導担当教員から指導を仰ぎ、さらに議論を進めていきます。それにより、受講生は、法律知識を現実の問題に適用することで実践的な知識として身に付けていくことができます。
しかし、具体的な相談案件の中には、相談者が相談に来られた真意が分からず、回答案を出すのに困難を伴う場合があります。相談の真意は何なのか、相談者が本当に求めているのは一体何なのか、それは基礎的な法律知識では容易に答えの出せない問題です。この点もまさに、実践的な知識と言えると思います。指導担当教員は、自らの経験や知恵を踏まえた上で、分かりやすく、かつ興味深く、さらには、法的判断とは直接に関係しない、アドバイスの内容や相談の技術等についても同様に指導してくださいます。
ゲストスピーカー 日置雅晴教授
(早稲田大学大学院法務研究科教授)
相談案件はさまざまで、内容によっては実務家の先生をゲストスピーカーとしてお呼びすることもあります。撮影日の相談案件は、行政、環境(日照権など)が絡む複雑な案件であったことから、弁護士で本研究科において『都市計画・都市環境と法』を担当されている日置雅晴教授をゲストスピーカーとしてお迎えました。また、行政事件ということで、今回は例外的に相談者を迎え、全受講生が参加しての法律相談となり、受講生それぞれが有意義な講義を受けることができました。
法務講師 石塚 健一郎先生
このようにリーガルクリニックでは、実務に触れながら、法律知識を実践的な知識として定着するにとどまらず、実務法曹家として必要な素養を学ぶことができるのです。これはまさに、法科大学院構想の理念たる「理論と実務の架橋」と言えるのではないでしょうか。
実際に相談者を迎え、 全受講生で議論を交わしました。
| 取材日 | 2009年7月10日(金)13:10~16:20 |
| 教室 | 池袋キャンパス A101教室 |
■科目のねらい
リーガルクリニックは、臨床科目といわれるもので、学生に、法律基本科目や必修の実務基礎科目で学んだ基礎知識を、法律実務に触れることによって、実践的知識として身につけさせることを目的とする科目である。
実際の法律紛争では、合理的な法適用の前に、種々雑多な現実的問題が横たわっており、弁護士等の法曹は、これらの問題を1つ1つ処理しながら、解決を進めているのであるが、学生がこのような実態を目の当たりにすることは、実務の何たるかを知る、この上ない機会といえる。
本科目は、学生に、弁護士の行う法律相談に臨席させて、このような体験学習をおこなわせるとともに、その実際の相談案件を使って、担当弁護士の指導の下で解決案について討論させ、これによって、いままで修得してきた法律知識を実務的に再検討して、身につけさせることをねらいとする。