(掲載日2006.06.23)
レポーター : 21世紀社会デザイン研究科2年次 長岡吾朗
門奈先生
普段何気なく見聞きする様々な「世論」。政治、そしてメディアという権力は、民主主義という名の下、政治ゲームとして私たちの思考を自由に操作することができます。そして私たちは、無意識のうちに「世論」という概念に振り回されているのです。私たちが日頃何の疑いもなく受け入れてしまうかもしれない「世論」の背後に隠されている策略とは、そして真実とは何なのでしょうか。そしてそれらを統括するメディアはどうあるべきなのでしょうか。
プレゼンテーションをする著者
門奈先生の講義では、「世論」の概念や成り立ち、歴史などを学びながら、世論調査の真実を様々な実例とともに考察していきます。そして私たちが普段無意識に受け取っているメディアからの情報を冷静に検証。溢れる情報に対して常に批判的な視野を養うのが門奈先生の講義のクライマックスです。日頃私たちが目にする「世論」を無意識に判断せず、自分自身で考え、能動的に判断していく力がつきます。授業では、元新聞記者のジャーナリスト、メディア企業に従事する人、放送作家、中国からの留学生、新卒のフレッシュな価値観を持つ方など、実に様々な年齢層やバックグランドを持つ学生が揃っています。それぞれが自由で様々な意見を活発に述べあいながら、先生の常に冷静で鋭い視点に引き込まれ、皆を夢中にさせていきます。和気あいあいと、自由で家族的な立教らしい雰囲気の中、学生全員が、温かくユーモアに溢れた先生のファン(虜)になります。日本のメディア界の巨匠であり立教を代表する著名教授である門奈先生のメディア論は必見!毎回授業に行くのが待ち遠しくてたまらなくなります。
活発に議論がなされています
演習風景
| 取材日 | 2006年6月23日(金)6限 (18:30~20:00) |
| 教室 | 池袋キャンパス 7号館7201教室 |
シラバスより
【ねらい・授業内容】
本年度のテーマは「世論と世論現象」
政治における世論調査の行為は市場に関する新自由主義イデオロギーの含む暗黙の哲学と無縁ではない。また,「消費者は王様である」というキャッチ・フレーズとも無関係ではない。おそらく,そのために以前にまして今日では世論調査に批判的な視線を向ける必要が生まれている。複雑・精巧でありながら,手段的でもある民主主義イデオロギーによる操作の形式は政治の世界でとくに活用されている。政治アクターたちは民主主義型の政治ゲームを巧みに操っている。メディアもメディアで,後から後から世論調査を注文し続けてはこれを発表している。ことに選挙の時期や大きな危機の時期には公的なディベートでリーダーたちは「世論」が考えていると思われることを突きつけて,世の中を操作する。
また,市場調査的な論説が受け手の「かんがえていること」を知ると同時に売り上げが落ちないように彼らを説得していく事例は枚挙にいとまがない。いまや,政治家もジャーナリストも市民もこの「世論」の存在に疑いをはさまないのだ。
本演習では世論万能主義の現代において,世論現象に批判的な視野を育成すべく,マスメディアを媒介とする世論調査の実態を社会学的考察を加え,批判的に解明していくことを演習の目的にしていきたい。メディア,政治,社会運動に関心を持つ人たちにとって,「世論とは何か」を問いかける演習にしていきたいと思っている。
【授業計画】
演習は二部構成で,上記のテーマに則した文献をとりあげて,それをテキストにして,輪読形式によるリポート発表を行ってもらう。「一部」では先ず歴史家の最近の著作によりながら,「世論」という概念がどのように生まれ,その制度化がどのように進められてきたかを考える。その上で「世論」の発生条件と政治学者がそれに付するまでの諸々の特徴を明らかにする。そして,フランスのテレビにおける最近の事例を細かに分析し,政治という場の自己閉塞化の過程,すなわち,政治のゲーム化の実態を解明していく。
「二部」ではインターネット時代の世論形成について考察する。まずはインターネット社会における「世論」の諸問題で,コミュニケーション・メデイアとしてのインターネット,インターネットと公共圏,インターネット社会における群集,インターネットとマスメディアの関係性を考察する。その上で事例研究としてたとえば,日本,韓国の実情を取り上げ,イラク戦争を巡るインターネット上の「世論」,佐世保事件におけるマスメディア報道とインターネット,オーマイニュースとオルタナティブ・メディアの現状,電車男の物語―いかにして好意的世論が形成されたか―などのテーマで今日の世論の実態を把握していきたい。
【教科書】
パトリック・シャンパーニュ著,宮島喬訳『世論をつくる―象徴闘争と民主主義』(藤原書店,2004),遠藤薫編著『インターネットと<世論>形成』(東京電機大学出版局,2004)