大学における英語教育の在り方
藤田 保
異文化コミュニケーション学部
異文化コミュニケーション学科教授



今、子どもたちと社会を取り巻く環境が大きく変わっています。ほんの20−30 年前、家族の中には兄弟がいて、町に出れば近所の子どもたちがいた。子どもたちはこうしたコミュニティの中で、遊びながら社会性を身に付けていました。自分が仲間うちでどのような役回りをするべきかなど、知らず知らずに自覚していたのです。ケンカしても次の日には何事もなかったように仲直り。そんな環境が今失われています。
一方、大学での日常に目をやると、こちらも大きく変わったと言わざるを得ません。講義後にも白熱した議論が尽きなかった過去の風景は、腹を割って議論し合うことを避け、遠慮がちに自分の意見を言うという消極的な学生たちの姿へと変わってしまったのです。
こうした自分を持たない学生が社会に出ると、まず自らの役割を自覚することができません。会社の先輩を模倣して仕事をこなし、同様に出世をしていく。昨今の経済危機は、言われたことだけをこなす仕事の仕方では到底打破できません。自ら考えて仕事をすることが求められているのです。
大学がこうした「人づくり」にどう責任を果たしていくべきか。自分で考え、自分で答えを見つける。自立した人材を育てる教育を再構築することを立教大学では急務と考えています。少人数で腹を割って議論できる環境を取り戻すため、安定した経営状態にある今、少人数教育に対応するための教室の整備や、カリキュラムの見直しなど、より充実した研究教育環境の再構築を行っています。
聖書と英語を教える私塾からスタートした立教大学は、古くから「英語の立教」と称されていますが、2010 年、全学部の1 年次生に向けて、英語教育の基本的な見直しを行います。8 名という徹底した少人数による「英語ディスカッション」を核に、英語を勉強するだけではなく、ディスカッションを通して他者の考えを受け入れ、理解することを通し、自らの考えをまとめる力を養います。2 年次からも各自の目標に応じたカリキュラムを履修しながら、専門教育・研究に必要な英語力も身に付けられるよう配慮していく予定です。
このようにして高められるコミュニケーション能力は、他の専門科目の授業においても継承され、相まった教養教育と実践教育を通して、今社会で求められる人づくりが行えることを確認しています。
高大連携パネルディスカッション
「大学に期待する英語教育・高校に期待する英語教育」
パネル報告
「立教大学の英語教育」