(掲載日2009.07.21)
5月と6月に豊島区立西池袋中学校の特別支援学級で落語の授業を行った本学落語研究会。今回は、落語研究会を代表して、平田さんに授業の中身や授業を行うにあたっての苦労などについてお伺いしました。
中学校にて
豊島区立西池袋中学校の特別支援学級では、総合学習の時間に「日本の伝統文化」について学んでいました。今回は「伝統芸能に触れよう」がテーマで、それでは、落語を学んでみようじゃないかという流れだったそうです。そこで、立教大学ボランティアセンターを通じて、落語研究会に落語の授業をしてもらえないかと依頼がありました。
落語を披露する中学生
生徒さんに実際に落語をやってもらうということを最終目標に、2回の授業を行いました。初回は、落語についての簡単な説明。小噺(こばなし)をこちらで5つ用意し、1人に1つずつ選んでもらって、それを生徒さんに覚えてもらいました。そして、1カ月後に2回目の授業を行いました。前半では落語指導、後半は発表会という形で授業を構成しました。また、2回とも、最後にわれわれが落語の実演を、合計七席ほど披露しました。
生徒のみなさんも落語に興味を持ってくれて、さらに一生懸命、噺を身につけようとしてくれ、授業が進むにつれて、生徒さんの反応がよくなっていくのをひしひしと感じました。
先生からも「保護者の方々から『TVで落語が流れると反応していました』という報告がありましたよ」と言っていただき、とてもうれしかったです。
発表会では、生徒それぞれの個性が出て、笑い声が絶えなかったですね。作られたキャラクターではなく、演者の人間性そのもので勝負していて、そのパーソナリティーが噺自体のおもしろさをはるかに上回っていたと思います。笑わせようとするのではなく、笑ってしまう形が自然と完成されていて、われわれもいろいろと勉強になるところがありました。
落語実演をする平田さん
とにかく分かりやすく、面白くしようと努力しました。よく落語を楽しむには「教養」が必要だという意見があります。しかし、個人的には地噺(会話が少なく情景の叙述が多い話)などは別として、「教養」がなくても、それ以前の、日本語自体の面白さ、会話のくだらなさだけでも十分楽しめると思っているので、今回はそこに重点をおき、自分たちの落語実演では「寿限無」や「松竹梅」など分かりやすいネタ(噺)を大げさなリアクションと現代的なギャグを交えて演じました。落語の歴史や落語特有の所作について詳しく説明することはあまりしませんでした。邪道かもしれませんが、この方針で間違いはなかったと思っています。
実家が田舎の食堂なので、人の出入りが激しいところで育ちました。そこには、テレビには出ないようなユニークな方々も来て、その人たちのさまざまな会話が自然と耳に入るようになりました。その会話は、全く成立していないものばかりだったので、強烈に覚えています。小学生のときに偶然、ラジオで『粗忽長屋』(そこつながや)と『浮世床』(うきよどこ)を聴き、「なんだ、これはあの人たちのことじゃないか」と驚き、それから落語を聴き始めました。そのうち、自分でも落語をやりたいと思うようになり、大学に落語研究会があったので、入会しました。
「人間、頑張れるはずがない」「すべての人間に可能性があるわけじゃない」「努力したって報われない」という身もふたもないけれど、とても説得力があるメッセージがあるところが魅力だと思います。
落語研究会として普段より鍛錬を重ね、技術を磨き、知識を身につけ、メンバーそれぞれが自分の理想とする落語を披露できるレベルまでもっていきたいです。そのためにも普段の落語会、練習会ではお互いに切磋琢磨していこうと考えています。素人なりにできることにどんどん挑戦して、落語を通して充実した学生生活を送りたいと思っています。