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(掲載日2003.11.1)

子どもたちにとってのお兄さん的存在であるために

~ピアサポーター制度に参加して~

コミュニティ福祉学科4年次 小栗 貴弘さん

 埼玉県新座市では市内にある大学(立教大学・跡見学園女子大学)と連携し、家庭や学校に学生を派遣して、心のサポートおよび学習支援を行う「ピアサポーター制度」を2003年度より本格的にスタートさせました。
  現在は立教大学からは7名の学生がサポーターとして活躍しています。今回は実際にサポーターとして活動したコミュニティ福祉学部4年の小栗貴弘さんにお話をうかがいました。

なぜ参加することになったのですか?

 ピアサポーター制度を知ったきっかけは、私のゼミの担当教授である福山教授の紹介でした。私は不登校児の援助について興味をもっていて、福山教授もそれをご存知だったのでこのボランティアを紹介してくださったのだと思います。私の在籍するコミュニティ福祉学部では"現場"での学びを非常に重視します。学部の多くの人は3年になると福祉の現場へと実習に行きます。しかし、私は心理の勉強が中心でしたので福祉の実習には行っておらず、現場を学ぶ貴重な機会だと思ったので、ピアサポーター制度に参加することを決めました。

ピアサポーターの役割はどういったものなのでしょうか。

 ピアサポーターが子どもの援助をする場としては大きく二つに分けられます。まず一つめは新座市のふれあいルーム(適応指導教室)です。ここには学校に行っていない子どもたちが通室してきます。年齢は多様なので、学校のように授業はできません。そのため子どもたちは各々が準備したドリルやワークなどを解くことになります。私たちピアサポーターは子どもたちが学習につまずかないように、わからない箇所があれば教えてあげたり一緒に考えたりします。また休み時間などに子どもたちとコミュニケーションをとることも重要な役割です。私がふれあいルームに通うのは毎週金曜日ですが、この日は週の終わりなので午後は自由時間になります。私はこのような時間を通して、子どもたちが人との関わりを学ぶのは、勉強ができるようになることと同じぐらい再登校に向けた大きな力になると考えています。

 ピアサポーターが子どもに関わる他の場所としては小中学校があります。ふれあいルームで再登校への自信をつけた子どもたちは、少しずつ学校へ通う練習をします。この時に一緒に子どもたちと学校へ通学することで、子どもたちの心理的な負担を軽減することが目的です。ここでの心理的な負担の軽減とはカウンセリングという意味ではありません。ピアサポーターに参加している学生の多くは確かに臨床心理学を学ぶ者がほとんどです。しかし、私たちピアサポーターに求められているのは、臨床心理学の技法を用いた援助というよりは彼らのお兄さんやお姉さん的な存在であることです。そのため、再登校支援の場合にも今までふれあいルームで親しんだお兄さんやお姉さんとして、彼らの心の支えになることがピアサポーターの役割だと考えています。

この経験を通じて学んだことを教えて下さい。

 私がピアサポーター制度に参加して学んだことは、何よりも不登校児たちの実際の雰囲気や、彼らとの関わり方です。不登校児と聞いて、ある特定のイメージを持たれる方もいるかもしれません。確かにそのような子どももいます。これらの子どもたちは心に大きな傷を負ってしまっているので、長い目で見守っていく必要があります。しかし、一方でとても明るい子どもたちもいます。むしろふれあいルームに通室してくるような子どもたちには明るい子どもが多いのです。一見おとなしそうに見える子どもでも、ゲームの話題や格闘技の話題になると生き生きと話してくる子どももいます。このように、「こんなに明るい子どもがどうして学校に行けないのだろう」ということを実際に経験することや、彼らとの接し方を経験することは、将来子どもに接する現場で働こうと考えている私にとって必ず役に立つものであると思っています。
 ボランティアとして子どもたちに接していて経験することは、必ずしも嬉しいことばかりとは限りません。つらいこともあります。これは他の適応指導教室での経験ですが、初めて来室した子が次から来なくなってしまったことがありました。このような時は自分の接し方が悪かったのかと悩んでしまいます。しかし、その子は半年後に再度来室してくれました。その次はやはり数ヵ月後でした。つまり、それがその子のペースだったのだと思います。このように私自身のペースを基準にして焦るのではなく、彼ら一人ひとりにペースがあることを学べるのも、現場だからこそだと思います。

将来の抱負

 私は将来スクールカウンセラーとして子どもたちと関わりたいと考え、臨床心理学を学んでいます。スクールカウンセラーとは学校で子どもたちの心理的な援助をするカウンセラーのことです。スクールカウンセラーとしての専門的な技術を用いた援助ができるように、これからたくさんのことを学ばなければなりません。その中で今、私が最も興味をもっているのが遊戯療法です。遊戯療法とは言語だけでなく、遊びも用いて子どもたちを援助する心理療法です。これに興味をもった理由は、ピアサポーター制度への参加にあります。先述しましたが、私が通室していたのは金曜日で、午後は遊びの時間になります。私はこの時間を通して、子どもたちと良好な関係を築く上で遊びが有効であると感じました。もちろん、遊戯療法での遊びと普通の遊びとは異なります。しかし、この遊びを通して、もっともっと子どもたちに専門的な関わり方ができたらとか、遊びを分析することで子どもたちの心がもっと理解できたらという気持ちが遊戯療法への関心へとつながりました。
  このような新たな興味を触発されたという点でも、私にとってピアサポーター制度への参加は大変有意義なものでした。これからも多くのことを学びたいと考えています。

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