今年度の講演会等

2017年11月4日

立教大学経済研究所主催国際シンポジウム
「災害復興政策と都市・地域のレジリエンス」の開催報告

立教大学経済研究所主催の国際シンポジウム「災害復興政策と都市・地域のレジリエンス」が、2017年11月4日(土)に立教大学池袋キャンパスの太刀川記念館第1・2会議室において開催された。

今回の国際シンポジウムでは、世界各国の自然災害からの復興に焦点を当て、災害によって破壊された人々の生業と地域経済の復興に資する災害復興政策とは如何なるものかを問うた。特に、自然災害が有する歴史性や地域性の背景となる被災地域固有の社会経済システムのレジリエンス状態に関して、国際比較視点からのアプローチを試みた。そのために、日本、中国、アメリカの研究機関において災害復興と地域発展に関する研究を行っている研究者らが集い、世界各国の災害復興政策に関する最新の研究成果を発表し、災害に強い強靭な都市・地域の構築可能性について議論した。

当日の国際シンポジウムでは、大友敏明(立教大学経済研究所長)による開催趣旨の説明がなされた後に、国内外の計6名の研究者による研究報告と全体討論が行われ、最後に櫻井公人(立教大学経済学部教授)の総括と講評によって締めくくられた。

第1報告「レジリエンス政策にだまされない地域(山本大策氏、米国・コルゲート大学准教授)」では、レジリエンス政策について報告が行われた。「レジリエンス」という言葉を生態的観点から確認し、「結果としてのレジリエンス」と「潜在的レジリエンス」の研究について検討した。レジリエンスが高いことは必ずしも良いこととは限らず、レジリエンスという大義名分のもとで従来型の開発が進められている。そのような「悪い」政策から地域を守るため、また本当の意味で地域のレジリエンスを高めるには、地域レベルで公論形成が求められ、「誰のためのレジリエンスか」という視点が重要になると指摘された。

第2報告「災害復興における物流とマテリアルハンドリングの役割(王群智氏、中国西南交通大学准教授)」では中国における災害復興時の物流とマテリアルハンドリングについて報告が行われた。四川省で近年発生した汶川地震、雅安地震、九寨溝地震の復興における物流とマテリアルハンドリングについて紹介され、それらの課題や成功に言及された。需要のすばやい把握のほか、物資だけでなくマテリアルハンドリングサービスの供給も重要であることが指摘された。

第3報告「タイ大洪水からのレジリエントな復興政策(佐野孝治氏、日本福島大学教授)」ではタイ大洪水の復興がレジリエントな復興政策であるかという検討が行われた。人的被害に加え、グローバルサプライチェーンの寸断も発生した大洪水は政治対立といった政府の不備・地域対立・リスク認識の甘さが原因の一部として挙げられる。企業主導の急速な復旧の一方、国家レベルでの復旧は進んでおらず、下流のバンコク首都圏と上流の農村部のレジリエンスには格差がある。このことを踏まえるなら、これがより良い復興だったとは言い難いという見解が示された。

第4報告「中国における環境保護政策が都市発展に及ぼす影響(朱哲氏、中国広東石油化工学院講師)」では中国政府における環境保護政策について報告が行われた。はじめに中国の環境政策の実態について紹介が行われ、時間の経過とともに変化しつつあるも依然として政府主導の色が強いことが確認された。そのうえで実際に行われている環境政策の事例とその影響について言及され、政府主導の政策が悪影響を与えている可能性があることが指摘された。

第5報告「被災地の音楽文化遺産の保護と伝承―大学音楽教育の実践(楊禾氏、中国四川大学講師)」では被災地の音楽文化遺産の復興政策と大学での音楽教育について報告が行われた。被災地では少数民族への被害も集中していた。自然災害後の復興政策では、文化領域があまり重要視されていない現状が指摘された。大学の一般教養としての音楽教育で音楽文化遺産を取り扱い、その保護と伝承を図るべきではないかと提案され、その手法や効果についても紹介された。

第6報告「避難区域を縮小させる日本の原子力復興政策(藤本典嗣氏、日本東洋大学教授)」では日本の原子力復興政策における問題点について報告が行われた。現在政府が行う政策は除染を前提として帰還を促す「除染集約型復興政策」であり、これらはエビデンスに基づいた政策ではない。除染の理由を政治的力学ではなく予算制約から考え直すべきであると指摘され、そのモデルが紹介された。帰還ではなく移住が選好される可能性にも言及された。

最後の全体討論では、レジリエンス政策、レジリエントな地域づくりなどの最近普及しつつある概念の両義性(肯定的、否定的)という理論的な問題から、現在の多くの国における災害復興策が抱えている実際問題などについて活発な議論と意見交換が行われ、災害復興政策を通じて如何に被災地の社会経済発展と住民の生活質の向上を図るべきか、について認識を深めることができた。

山本大策氏の講演
司会 厳成男(本学経済学部准教授)

山本大策氏の講演
第一報告「レジリエンス政策にだまされない地域」
山本大策氏

王群智氏の講演
第二報告「災害復興における物流とマテリアルハン
ドリングの役割」
王群智氏

佐野孝治氏の講演
第三報告「タイ大洪水からのレジリエントな復興政策」
佐野孝治氏

朱哲氏の講演
第四報告「中国における環境保護政策が都市発展に
及ぼす影響」
朱哲氏

楊禾氏の講演
第五報告「被災地の音楽文化遺産の保護と伝承ー大
学音楽教育の実践」
楊禾氏

藤本典嗣氏の講演
第六報告「避難区域を縮小させる日本の原子力復興
政策ーマクロバランスの国際比較」
藤本典嗣氏

全体の様子
全体の様子

2017年5月10日

公開講演会「公認会計士への道」の開催報告

2017年5月10日(水)に14号館D401教室において、公開講演会「公認会計士への道」が開催された。昨年実施された同様の講演会に比べて参加者は若干減少し30名程度であったが、例年に比べて、講演会後の個別質問が多く、参加者の関心の高さが際立った。

はじめに、日本公認会計士協会による「CPA document」というビデオ上映が行われた。公認会計士という職業について、また、監査という業務について、わかりやすく簡潔にまとまっていて、大変理解しやすい内容であった。

その後、小林尚明氏(公認会計士・日本公認会計士協会)より、公認会計士制度についての解説があり、また、ご自身の長年の経験を踏まえ、公認会計士という職業の魅力、素晴らしさ、そして誇りについて熱く語っていただいた。

次に、昨年、公認会計士試験に合格し、有限責任監査法人トーマツに勤務されている大川 央倫氏(本学経済学部卒・2016年合格)から、大学時代に公認会計士試験に挑戦し始めたことや、その後、一時期、試験勉強を中断し、海外留学を経験したり、一般企業への就職活動を目指したりと、紆余曲折を経て試験に合格したというお話をいただいた。また、入職後に感じたこととして、女性が働きやすい職場だということや、上場企業の経営者と話をする機会があることのすばらしさ等を述べられ、最後に、参加者の皆さんに対して、ぜひ立教卒の会計士を増やしていきたいというエールが送られた。

また、山田浩一氏(公認会計士・立教公認会計士会会長)からは、まず、立教公認会計士会の紹介があった。現在、立教公認会計士会の会員は、把握されているだけで600名程度いるというお話であった。また、本学OB・OGの公認会計士の方々のご活躍の様子等についてもお話しいただいた。さらに、公認会計士という資格を活かして、どのようなキャリアパスがあるのかを丁寧にご説明いただき、公認会計士試験へのチャレンジの勧めで締めくくられた。

時間が限られた中ではあったが、質疑応答も活発に行われ、参加者への多くのアドバイスもいただいた。前述した通り、講演会の終了後には、個別質問に長い行列ができ、講師の先生方には長時間にわたって丁寧にお答えいただいた。

監査業務の繁忙期にもかかわらず、後輩のためにご協力いただいた講師の先生方には、篤くお礼申し上げたい。

櫻井公人所長挨拶
大友敏明所長挨拶

全体の様子
全体の様子

小林尚明氏の講演
小林尚明 氏の講演

横澤祐里氏の講演
大川央倫氏の講演

山田浩一氏の講演
山田浩一氏の講演

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