ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

20150714rikkyo

④「市場の自由化と農業―TPP をめぐる問題と日本農業―」報告 郭洋春氏【報告内容】日本における農家数及び農家人口は急激に減少している。また、日本は山地が70%、平野が25%であり、そのうち農地はわずか13.5%しかない。こうした日本の地形の特徴により、他の先進国の農地に比べて農業をするには極めて不利な状況にある。また、農業はGDP(2012 年度)の1%しか占めておらず、農業に従事している人たちの平均年齢は他の産業に比べて非常に高い。このような状況に対しTPP 参加による農業活性化という考え方があるが、TPP に参加することによって本当に国際競争力を持った農業が育成され、そして日本の農業が再生され得るのか。2013 年に政府が発表したTPP 経済効果資料によると、TPP に加盟して10 年後の経済効果が3.2 兆円になるという。言い換えれば0.6% GDP を押しあげる数字である。ただ、この数字は10 年間ではなく、10 年後の数字であることに注意が必要であり、問題はこの後ほぼ横ばいで、それほど上がるかどうかわからないという点である。一方、同じく政府(農林水産省)から出た資料によると、農業自体に3 兆円の被害が出で、一番大きいのは米(34%)である。これをあわせるとTPP に入る意味があるのかということになりうる。もしTPP に加盟して3 兆円の被害を被ると、耕作放棄地が増加し、離農者や兼業農家も増加する。特に、離農者は失業することになり、彼らを雇用する新しい産業を作っていかなければならない。これができなければ、日本は失業問題及び雇用問題に直面することになる。それを救うだけの潜在な能力が今日本の経済にあるのかが問題になるが、郭氏は非常に難しいと語った。なぜならば現在の日本の経済社会は成熟社会であり、モノづくりは限界に近づいているからである。農業とはその国の文化であり、歴史であり、風習である、つまりその国の成り立ちを示しているもので、それをなくしていくことはその国のあり方をすべて変えることになり、こういう議論をしないまま、市場原理だけを持ち込むことは非常に危険である。文責:一ノ瀬大輔(本学経済学部准教授)66