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概要

20150714rikkyo

後も際限ない国際的投機化との心理戦を繰り返さなくてはならない。予想インフレ率を引き下げるような要因を逐一つぶしていかなければならない)。ところが、第一段階の成功は第二段階へ転化していない。これには次の3 つの理由がある。①リフレ派は資金調達コストと予想インフレ率のみに注目し、需要不足の具体的分析をせず、期待利潤率の問題を(理論的にも)ほとんど考慮していない。②期待利潤率が著しく低い場合には、金利の低下や株価の上昇は設備投資の増加をもたらさず、金融資産の運動に終始する。③円安は他方で輸入物価の上昇、コストプッシュ型インフレをもたらし、国内需要の増加につながらなかった。さらに、異次元金融緩和政策の負の副産物が見られている。すなわち、①金融資本市場の機能マヒ、②マネタイゼーションの進展(国債の流動性が極端に低下することによる乱高下と、出口戦略の難しさ)、③歴史的な円安水準(実質実効為替レートでみると、かなりの円安状態にある)にあり、円安の進展と円高への転換のいずれの場合もリフレ政策に打撃を与える段階にある、④軽微のスタグフレーションの到来(すでに到来しているかもしれない)。今回の報告テーマである「異次元の金融緩和の政策」の現段階は、「ほぼ失敗しており、さらにその政策による副作用が出ている」ということができるだろう。第6 回研究会日時 2015 年2 月19 日 13:30 ~会場 12 号館 4 階 共同研究室報告 ▽吉原千鶴氏(本学大学院経済学研究科院生)「ピグーの貿易論」【報告要旨】本研究の主題は、1930 年代のピグーの貿易論について、初期ピグーの貿易思想との連続性およびケインズの保護主義への批判という観点からその特徴を明らかにすることである。ピグーの貿易論を扱った研究の代表的なものとして、山本崇史[2009]「初期ピグーの保護関税批判と厚生経済学の三命題」があるが、山本は検討範囲を初期(1904-06 年)ピグーの貿易論に絞っており、1930 年代のピグーには触れていない。関税改革運動は失敗し、イギリスでは自由貿易が継続されることになる。しかし、第一次大戦以降の不況および1929 年の大恐慌によって高い失業率に苦しんだイギリスでは、1930 年代前半に再び保護貿易が議論されるようになる。この時期ピグーは保護主義に対してどのような立場をとったのか。1930 年代のピグーの貿易論についてはケインズの保護貿易論の研究で簡単な言及があるものの、詳細は明らかでない。そこで本研究では、両者がともに参加した経済学者委員会(1930 年)の議論を中心に、ケインズとピグーの政策上の対立はどこからきているのか、ピグーの貿易理論は関税改革論争期から変化していないとみてよいか、ピグーの貿易理論の内容と政策提言の関係はどのようなものかを検討する。関税改革論争期にピグーは積極的な保護貿易批判を展開するものの、そこでの議論は基58