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概要

20150714rikkyo

理論部会プロジェクト研究報告「『市場主義』経済学のオルタナティブ」本年度は「市場主義」経済学を検討するための方法論を模索した。構成メンバーの研究領域が異なるので、それぞれの分野で何がどのように問題になっているかを整理している段階である。研究会ではまた、外部から講師を呼んで問題意識の豊富化をはかった。図書の購入では、RA に選書してもらい、文献資料の充実を図った。第1 回研究会日時 2014 年7 月9 日 16:00 ~会場 12 号館 4 階 共同研究室報告 ▽藤原新氏(本学経済学部准教授)「ケインズの不確実性とケインジアンの不確実性」【報告要旨】ケインズの経済学の方法論とポストケインジアンの経済学の方法論は必ずしも一致していない。本報告は、ケインズの方法を確認した上で、ポストケインジアンの方法を整理して提示する。そして、両者の違いが典型的にみられる論点として、計量経済学に対する両者の立場を比較する。最後に、最近のポストケインジアンの方法としてマクロ経済学を統計力学的な基礎に基づいて再構築する試みについて検討する。ケインズが『一般理論』等で主張した経済学の方法論に関する内容は、『確率論』で展開された認識の論理学を基礎とするものである。そこでは経済は有機的統一体であり、頻度論的確率論を用いる場合に満たされるべき条件である「原子仮説」とよばれる条件を満たしていないことが指摘された。このような認識のもとケインズは、経済分析においては経済という具体的な対象の性格(有機的統一体)にふさわしい認識・分析方法を用いなければならないとし、経済学は「モラル・サイエンス」であることを強調した。この視点は、特に投資の意志決定に重要な役割を果たす長期期待の状態についての分析に生かされている。ケインズは『確率論』での推論方法を投資収益の期待の問題に応用し、慣行の安定さ・不安定さを説明することで、投資需要の安定性と不安定性を説明した。ポストケインジアンの方法は多様だが、以下の2 つに大きく分けることができる。第一の方法は、経済という対象がどういうものかに注目するもので、デビッドソンが代表的論者である。彼は現実の経済は非エルゴード的世界であり、それに適した分析方法を選択しなければならないとして、物理学における非エルゴード性の扱いを経済学に応用しようと試みている。第二の方法は、対象の認識方法に注目するもので、トニー・ローソンの「批判的実在論」とダウの「バビロニア的思考様式」が代表的である。ケインズは、経済を有機的統一体としてとらえており、経済学における数学の利用はかなり限定的にすべきであると考えていた(ティンバーゲンの計量経済学批判)。しかし、ポストケインジアンのなかには計量経済学の有用性に高い評価を置くものも存在する51