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概要

20150714rikkyo

ておりまして、マルクスはそれを批判するわけですね。ルルーは資本主義という言葉を使うとき、商業資本のことを念頭に置いております。問屋制家内工業ですね。つまり、そういう大きな商業資本があって、小規模な家内労働者に注文を出して、工賃を払うのですけれども、それを買いたたく。それでもうけている。それが資本主義だと。こういう理解の仕方ですね。マルクスはそれを批判して、資本主義ではなく、資本家的生産様式という言葉を使います。工賃を切り詰めるのではなくて、産業資本が市場賃金を支払い、生産過程で価値増殖が行われて利潤になる。そういう流通過程の搾取を問題にするルルーだとかとは違うのだということで、ご承知のように、『資本論』の中ではKapitalismus という言葉はほとんど出てこないわけです。ところが、ゾンバルトはこのKapitalismus というのをあえて使うわけです。マルクスを批判しながら、むしろフランスのそういう言葉の伝統を引き継いで、これはヴェーバーもそうなのですけれども、そういう資本主義が全面的に社会を覆うことによって、例えば、ヴェーバーは物質文化だと批判します。まさに精神文化が退歩してしまって、物質文化ばかり。例えば、まさにビルが建って電車が走って広告ができて、人間の存在がちっぽけなものになってしまうというか、そういう物質文化が支配する過程。それをKapitalismus と呼んだわけですね。そういう意味で、歴史学派が問題にした資本主義批判はマルクスの資本主義批判とまた違う観点があり、それが現代につながっているのではないかと思います。4.歴史学派研究の集大成ゾンバルト研究は中断していますが、この間私にとって重要な仕事が一つありました。シュモラーの翻訳(『国民経済、国民経済学および方法』近代経済学古典選集〔第2 期〕日本経済評論社2002 年)の後、2005 年から2008 年にかけて科学研究費基盤研究B で大きなお金をいただく機会があり、北海道大学・小樽商科大学の先生と一緒に歴史学派の比較研究(ドイツ・イギリス・日本)を行いました。その成果の報告で、私はドイツ歴史学派について総括的な論文を書きました。ここで従来の歴史学理解を超えて、いわゆるロッシャーなどの旧歴史学派を歴史学派ではなく先駆者として位置づけ、歴史学派というのは本来、シュモラーによって始まることを強調しました。シュモラーの新歴史学派を本来の歴史学派として描き、シュンペーターが最新歴史学派と呼んだゾンバルトとかヴェーバーを歴史学派の新しい世代とし、そこにシュピートホフの景気理論を含めて、またシュンペーターの研究もその周辺に位置づけるということです。そして、ゾンバルトの『近代資本主義』第2 版の最後のほうに出てくる「資本主義終焉論」という議論があるのですけれども、そこにからめて歴史学派の意義を考えるということをいたしました。この最後の論点についてゾンバルトは、社会主義か資本主義かというのは意味がなくなっているのではないか、両者は収斂していくのではないかと述べています。つまり、革命みたいな形で資本主義が変化しないということを考えると、資本主義は発展していけば当然福祉政策などの公的な市場への介入が出てくるので、最終的に社会主義と修正された資本主義の境目はほとんどなくなるだろうということを予言しております。これが資本主義終焉論Ende Des Kapitalismus という理論です。シュンペーターは第二47