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概要

20150714rikkyo

生というマックス・ヴェーバーの有名な研究者にお話を聞きに行った記憶がございます。帰国してすぐ、経済社会学会でもシュモラー生誕150 周年の企画をすることになり、テュービンゲンで知り合った山本幸男さんの紹介で、「グスタフ・シュモラーの社会階級論」の報告をしました。さらに、小林昇先生が退職記念で昭和堂から本を出すということになり、そこに「グスタフ・シュモラーの『配分的正義論』」を書きました。それから、1991年に今度はまた住谷一彦先生が退職の記念でリブロポートから論文集を出すということで、「グスタフ・シュモラーと第二帝政-保守主義と自由主義の相克-」を寄稿させていただきました。また、91 年には恩師の近藤先生が『近代化の構図』という論文集を出されましたので、そこに「グスタフ・シュモラーの近代企業論」を書かせていただきました。先ほど少しはしょってしまいましたけれども、近藤先生から私が立教大学にお誘いいただいたときに、当時、ドイツ経済史の先生がいらっしゃいませんでしたので、近藤先生が指導教授を引き受けてくださいました。私はドイツのことをやりたいので、先生は指導教授のことを気にせず、どんどん好きなところにいらっしゃいと、といっていただいたのです。それで小林昇先生や住谷一彦先生を紹介してくださいました。私は住谷先生のゼミに毎週出席し、また小林先生のところにはちょっといろいろ事情があって、外にアルバイトに行かないといけないのでなかなか行けなかったのですけれども、個人的に小林先生をお訪ねしました。ちょうど3 号館に研究室があったころです。また松田智雄先生をつうじてドイツ資本主義研究会に紹介していただきました。そういうふうにして、ある意味で本当に自由に放牧させてくださったというか、これは私にとって本当によかったと今から考えるとつくづく思っております。近藤先生には感謝の言葉もありません。それからこういう風にしてシュモラーについての論文を次々に書きまして、1992 年に11 本ぐらいの論文をもとに、もう1 回全部書き下ろしみたいな形にして1 冊本を書きました。これが『グスタフ・シュモラー研究』(御茶の水書房)で、私の主著ということになります。これが幸いなことに第37 回日経経済図書文化賞をいただくことができました。本書はシュモラーの本格的な研究としては世界で最初ということになると思います。それから、シュモラー生誕150 周年を機に世界的にシュモラー評価のうねりが出てきて、それを結果として私が日本で最初に受けとめたということになったわけです。私が研究をまとめる過程で非常に重要だったのは、シュンペーターのシュモラー評価です。シュンペーターはもともとオーストリアの人ですが、カール・メンガーとシュモラーの方法論争を見て、もちろんシュモラーを批判するのですけれども、シュモラーのやろうとしたことを非常に高く評価したわけです。彼のシュモラー評価のポイントは、まず、歴史的進化の単一理論の拒否。シュモラーは、例えば、マルクスの唯物史観とか、そういう大きな、大がかりな歴史観ではなくて、本当に細かいモノグラフというか、小さな実証研究を積み重ねていくという歴史研究をやったわけですが、それが弟子たちを育てて、非常に現実的、歴史的なセンスを涵養したとシュンペーターは評価しているのです。さらに、経済学というのは利己的な個人というか、そういう利己主義とか、self interest とか、そういう人間を想定して理論を組み立てていくわけですが、シュモラーはその倫理的という言葉によって、人間社会の超個人的な構成要素、必ずしもそこに回収されない人間と人間44