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概要

20150714rikkyo

第3 報告「私とドイツ歴史学派」田村信一(北星学園大学学長)はじめに私は1971 年に法政大学経済学部を卒業し、同大学院社会科学研究科修士課程を修了してから、1973 年に立教大学大学院経済学研究科博士課程にまいりました。法政大学で私は田中豊治先生のゼミナールで西洋経済史を学んでおりましたが、労働運動史とか社会主義革命史とか、そういうものにもちょっと関心があったので、第1 次大戦後ドイツの社会化をテーマに修士論文を書きました。ロシアとか中国とかではなく、先進国の中でどうやって社会主義になっていくかという問題ですね。修士論文を書いた後、恩師の田中先生は経済史でしたので、ドイツ経済史をやるのだったら京都大学の大野英二先生のところに行ったほうがいいのではないかというお話をいただいていました。しかし田中先生が在外研究でイギリスに行かれ、その大学院の講義を立教大学の近藤晃先生が代講で来ていたのですね。それで「田村くん、立教に来ないか」というお誘いがありまして、今でも覚えているのですけれども、池袋のどこか飲み屋に連れていかれてごちそうになり、じゃあわかりましたというので立教に行くことになりました。立教が私にとって魅力的だったのは、経済史関係の先生がたくさんいらっしゃった上に、リスト研究をされている小林昇先生やヴェーバー研究の住谷一彦先生がおられ、お二人ともドイツ経済史にも大変造詣が深かったわけで、そういう経済史と思想史の中間的なところを私は考えていたものですから、非常に魅力的だったということがございます。その後社会化の問題について少し書きまして、それで立教大学経済学部助手に応募して採用されました。この社会化の問題というか、正直言うとあまり面白くなくなってしまいました。つまりどういうふうにしてこの問題を現代的な観点から扱ったらいいのかということで悩んだわけです。我々の世代とってこの分野の研究の金字塔は、大阪大学を昨年定年になった小野清美さんの『テクノクラートの世界とナチズム』(ミネルヴァ書房1996)です。これは社会化やドイツ社会主義革命などの研究テーマを、テクノクラシー論という形でうまくすくい上げ、それをナチズムあるいは現代社会につなげていく研究で、第9 回和辻哲郎文化賞を受賞されたものです。この本の書評を小野さんから頼まれ時、面映ゆい気がしました。私の場合はこうした展望が開けず、なかなかテーマが定まらないで博士課程の後半を過ごすことになりました。1.博士論文と研究テーマの明確化それから経済学部助手になった時に、博士論文を書かないかというお話を何人かの先生からいただきました。私の世代は積極的に課程博士を出そうとする過渡期にあたっていて、課程博士の基準になるような研究をまとめてみないかというお誘いだったわけです。その博士論文が「19 世紀末ドイツ第二帝政における経済政策論争―工業国論争の一分析―」です。主査が小林昇先生、副査が住谷一彦先生とドイツ経済史の小笠原茂先生で、1 時間ぐらいいろいろ鋭い質問をいただきまして、なんとか面接をクリアして博士号をいただいたことを思い出します。これは『立教経済学研究』(34 巻4 号~35 巻2 号)に3 回連載40