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概要

20150714rikkyo

第2 報告「現代経済と企業金融―資産流動性・資産回転率との関連で―」高橋衛(常葉大学経営学部教授)はじめに本報告の主要な目的は、企業金融(とくに直接金融の比重の上昇傾向)を企業成長・資本蓄積(とくに多角化・多国籍化)との関連で把握する、そのてがかりを探ることである。問題を3 つに分割したい。問い① 企業金融を多角化との関連で把握するとき、多角化はメリットだけか、それともデメリットもあるのか?問い② 企業金融を(多角化だけでなく)多国籍化との関連で把握するとき、とくに企業金融のリアルオプション理論を多国籍化の内部化理論の合弁やライセンシング契約との関連で把握するとき、それらの前提は流動的な企業観か固定的な企業観か?問い③ 企業金融を多国籍化との関連で把握するとき、多国籍化はメリットだけか、それともデメリットもあるのか?以下、それぞれ検証していきたい。1.問い①について本報告の題名のメインテーマを「現代経済と企業金融」としたが、「現代経済」として主として念頭においているのは、事業の多角化、直接金融、企業活動のグローバル化(海外売上高比率上昇傾向、外国人持株比率上昇傾向)である。企業成長とりわけ多国籍化を考えるさい重要なのは、UNCTAD(2011)の中で、アップルが鴻海(ホンハイ)にスマホなどの組み立てを外部委託しているということが取り上げられている点であろう。従来の100%出資による子会社設立を通じた海外展開から非出資型国際生産(NEM)を通じた海外展開へ比重が移行している。企業金融を考えるさい重要なのは、Financial CrisisInquiry Commission(2011)の中で、デリバティブ(オプション取引など)が2008 年リーマンショックで大きな役割を演じたことが取り上げられている点であろう。また、本報告の題名のサブテーマを「資産流動性と資産回転率との関連で」としたが、「資産流動性」と「資産回転率」という対比として主として念頭においているのは、事業の多角化をめぐる岩村(1994)の企業金融論の視点と高橋(2006)の企業金融論の視点の違いである。「資産流動性」と「資産回転率」という対比のもとで抱いている問題意識は、事業の多角化をめぐる岩村(1994)と高橋(2006)のあいだの論点は多国籍化をめぐっても再現するはずではないかという問題意識であり、のちに「問い③」につながる問題意識である。配布資料の「1.要約」のはじめの2 行に「この研究報告では、企業金融を企業成長(とくに多角化、多国籍化)との関連で把握するさいに直面する困難とその克服のてがかりを(標準的な体系書を中心に)検証する。」と書いた。本報告の主要な「問い」は「企業金融を企業成長との関連でどのように把握するか」というものである。ところで企業金融は最近の具体的な動きとしては直接金融、外国人持株比率の上昇傾向というかたちをとってい35