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概要

20150714rikkyo

料に挙げられている非居住者の日本国債投資についていえば、すでにみたように非居住者が日本国債をどれだけ購入してもしなくても、それは経常収支には直接の影響を与えませんし、その規模を決めることにもつながりません。財政赤字が大きいからといって非居住者保有が大きいわけではないし、経常収支赤字が必ず非居住者保有を高まらせるとは限らないにもかかわらず、非居住者の保有が高まっていったり、あるいはその非居住者が売却することで国債の暴落リスクが高まったりするのではないかという懸念もあるようですが、経常収支の関係からそれは知りようがないのです。最後に、非居住者が日本売りという形で国債を手放すのではないかという懸念も出ていますが、それは非居住者だから云々という問題に解消することはできません。日本人が保有していたとしても、同様の懸念から暴落のリスクは当然にあるからです。国債に対する信認低下がもたらす暴落は、経常収支が赤字か黒字かということや、居住者保有なのか非居住者保有なのかという点は関係がないのです。ですから、先の懸念は経常収支赤字ないし外国人保有が増大するという対外的な問題なのではなく、経常収支と財政赤字、国債の購入者と保有構成を単純に結びつけることはできないのであって、国際収支はもちろん、国債売買の収支や保有者比率、グロスの国債売買といった全体から論じようとするならともかく、経常収支から財政問題や財政の破たんを問題にしようとすることには無理があるのではないかと考えられるわけです。5.経常収支赤字の意味をどのように考えるか以上、主としてIS バランスを材料にしながら日本の経常収支の問題について考えることにお付き合いいただきました。もとより国民所得理論では、国民貯蓄と国民投資がイコールになっていなければ、それを海外の残差、すなわち経常収支に求めざるをえないのであって、それが純資本移動に過ぎないという理解の根拠になっていますし、それはマクロ統計上から考えれば正しいものであることは明らかです。しかし経常収支は「国民貯蓄・投資の単なる残差」とか「純資本移動に過ぎない」という以上の意味を持っているというのが本報告の積極的な意味です。では、どういう意味を持っているか。経常収支というのは、それ自体としては黒字というのが国民所得の増加の要因となるし、逆に赤字の場合にはそれだけ国民所得の減少要因という理解にならざるを得ない。たとえばここまで話をしてきたように、輸入というのは外貨の流入ということを意味しているわけではなくて、銀行の貸借対照表から見られるように、資産の減少ということをあらわすのであって、それはさらに国内からの資産の流出ということを意味しますので、それ自体として所得の流出ということが言えるのだろうと思います。したがって、もし赤字になるということになれば、それ自体としては一国の購買力が一方的に海外に流出していく、ということをあらわしています。では、経常収支赤字のマイナス面を大きく取り上げて悲観する必要があるかというと、決してそんな必要はないことも付け加えておかなければなりません。我々の最終的な経済目標は国民の生活水準を引き上げること、すなわち内需の拡大です。日本の外需依存も内需拡大のために、時代にあわせて必要とされてきたものでした。そしてもし、その内需拡33