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概要

20150714rikkyo

ちなみに、もし債務国に転じたとしても、問題がすぐさま噴出するということはありません。3.IS バランスと国際貸借続いて本日の本題、つまり経常収支を「問題なし」というときの重要な根拠のひとつであるIS バランス論について検討していきたいと思います。IS バランスにもとづいて経常収支赤字が問題でないという場合にまず言われることは、「経常収支は儲けを表しているわけではなく、赤字や黒字は良いも悪いもない」ということです。たとえば、企業や家計の資金過不足は個々の主体の最適な経済行動の結果であるから、その残差が赤字でもそれ自体に良し悪しはないのと同様、国内の資金過不足をあらわす経常収支が赤字だとしても、それを損得で考えるのは誤りだというわけです。輸出・輸入が必ずそのまま企業の収益に直結するわけでもないですし、貿易収支にコストという概念の入り込んでいないわけですから、それで損得をあらわせないのは当然だろうと思います。もちろん企業は国内取引も行っているわけなので、その意味でも貿易収支をもって損得がいえないことも明らかです。ところが、それが同意できたとしても、こうした考え方には大きく2 つの混乱があるのではないかと考えています。3-1.「資本収支が経常収支を決める」という考え方についてとあるマクロ経済学の教科書では「『経常収支が黒字(赤字)だから資本収支が赤字(黒字)になる』という考え方に合理的な根拠は何もない…資本収支が赤字(黒字)だから経常収支が黒字(赤字)になるしかありません。それがまさに正しい答えなのです」といった説明が行われています。国内のIS バランスの結果がフローとしての資本移動、すなわち経常収支であると考え、それを基本として現代ではより有利な投資先を国際的に求めて海外に投資したり、投資されたりする巨大な資本取引が行われていることを勘案すれば、資本収支から経常収支を規定するという説明には説得力があるように思えます。そこで、日本からアメリカへ100 の輸出がなされたという仮定からスタートして、そこでの国際収支のあらわれ方について考えてみたいと思います。以下、ここでの説明は資本収支ではなく、金融収支を使用します。さてこの場合、日本の経常収支、金融収支とも100 の黒字です。これとは別に日本がアメリカの株を800、逆に非居住者であるアメリカ人が日本の国債を500 購入したとしましょう。国際収支は必ず複式で書きますので、たとえばアメリカに800 投資したのであれば、その見合いとして必ず800 の「その他投資」、具体的には銀行間資金移動となるでしょうが、それが記されます。非居住者による対日投資も同じです。つまり、どんなに巨大な資金移動が行われたとしても、その取引が貸方と借方両方に記される限りにおいては、金融収支上はプラスマイナスゼロになってしまいます。では、残る部分は何かと言えば、冒頭の輸出の見合いとしての100 であって、こう考えると資金の移動の残差というのが経常収支なのだろうか、という疑問が生じます(補足資料1)。恒等式は成立するので、国内の貯蓄投資バランスがアンバランスであること、またそれとは別に個別の経済主体が国外との資30