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概要

20150714rikkyo

合理性はある。しかし、このような労務管理が広がっていくと、日本社会は成り立たない。さらに言うと、少子化や市場の縮小、あるいは労使関係の信頼を喪失していき、労働生産性とかモチベーションの低下ということにもつながっていく。このように、ブラック企業というのは、その当事者が悲惨なだけではなくて、社会、あるいは企業にとってすら、非常に有害な問題である。頑張っても自分のキャリアや人生にとってマイナスになってしまうかもしれない、そういう労務管理を技術として行っている企業もあることを前提に、何とか見分けて就職しないようにするしたたかさが必要だ。ただ、「見分ける」ことには限界があるので、入った後は、これは自分自身の権利を戦略的に行使して、身を守って、会社や社会に貢献していってほしい。4.神林龍氏の講演神林龍氏の講演では、日本型雇用慣行が解体しているという通説の検討がおこなわれた。神林氏の講演の概要は以下の通りである。今、基本的に政府が主張していることは日本が従来持ってきた雇用のあり方は行き過ぎた雇用維持型であり壊れてきている。だから変えなければいけない、ということだ。この私は日本的な雇用慣行は、実際に廃れたのかどうかということを、統計を使って検証してきた。統計から以下のことがみてとれる。まず、30 ~ 34 歳の時点でその会社に5 年以上勤めていれば、その後も同じ会社に勤める可能性が高く、その点について1980 年代から大きな変化はない。日本の近年の特徴は、実は勤続0 年から4 年、いわゆる中途採用の人たちにある。中途採用の人たちが、その会社に居残る確率が、2000 年代前半に減ってきている。結局これは何を意味しているかというと、コアに入っていくゲート自体の厳しさは強くなっているが、いったんゲートを通った人に関しては、実はあまり変わっていないということだ。さらに、勤続15 年以上など、勤続が長くなるほど、解雇されにくくなり、2000 年代以降も構造はほとんど変わっていない。これらから、日本的雇用慣行のコアの部分はそう大きく変わっているわけではないということが結論される。つぎに非正規雇用の人たちが、雇用者に占める割合をとってみると、1984 年から一貫して上昇してきて、2000 年前後のところで30%を突き破るということが起こっていることが分かる。ところが、全く同じデータで、人口数で数えてみると、正規の職員、従業員と呼ばれる人たちの数は1980 年代からほとんど変わっていない。何が減っているのかというと、自営業、家族従業者と呼ばれる人たちが減っているのである。人口比に直してみても、25 歳から55 歳という現役階層に限定すると、正規社員の比率はほとんど落ちていない。非正規従業員の比率は確かに大きくなっているのですけれども、やはりそれをキャンセルするように、自営業の比率が減少していることが確かめられる。結局、正規雇用の減少はそう激しく起きていない。むしろ、自営業・家族従業者が、1970年代から持続的にずっと減少しており、この層が実は非正規労働者と対応しているということが分かる。以前、自営業や家族従業者が担っていたビジネスが、労働市場にどんどん23