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概要

20150714rikkyo

使協議がなされており、この点にも注意する必要がある。次に、雇用改革とその前提になる日本型雇用についての指摘がなされた。日本の働き方の特徴は、法律によって規定されているのではなく、雇用慣行として成立してきた。それは、会社のメンバーとして、正社員で入社すると、様々な仕事を経験しながらスキルを上昇させ、賃金も上がっていき、その間の雇用も保障されるというものである。この点が日本型雇用の「功」の部分だと考えられてきたが、現在、その「罪」の部分に注目が集まっており、ブラック企業の問題がその象徴となっているのではないかとの指摘がなされた。また、その際、限定正社員やジョブ型正社員が、1 つのキーワードになっており、職務、勤務地、労働時間というものの限定性を高めていくというような働き方を増やしていくべきではないかという議論がなされていること、さらにそれに合わせて賃金の制度、解雇ルールのあり方、労働時間法制などを見直していくべきではないかという議論がなされていることが述べられた。2.大沢真理氏の講演大沢真理氏の講演では、安倍政権の雇用改革について、「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援へ」とのキャッチフレーズがあるが、それが現状認識として的を射ていないとし、以下の点が指摘された。まず、行き過ぎた雇用維持といった際、正社員の解雇からの保護法制が強すぎるとの認識があるが、実際には、正社員の雇用保護は極めて弱い。OECD の雇用保護指標によれば、日本の雇用保護の法制の強さは、アメリカとカナダを除くアングロサクソン諸国と非常に近いところにある。つまり、そもそも正社員の雇用保護も、非正規労働市場の規制もかなり弱い。また、「失業なき労働移動」といわれるが、日本では失業者が失業給付を受けられず、これは、アメリカやイギリスなど自由市場経済の国と比べてもその人数は多い。じっさい、日本では失業者の25%くらいしか失業給付を受けていない。さらに、労働移動を促進するといっても、雇用保険制度は給付が受けられる期間が短い。加えて、実際には会社都合退職で辞めた人が、自己都合退職となっているケースも多い。これは失業者の中で失業給付を受けている人が少ないこととも関連している。雇い主は、なぜ事業主負担を回避しようとするのか。今日本の社会保険料が労使折半であるのに対して、スウェーデンでは社会保険料のほとんどを事業主が負担しているので、事業主にとってはスウェーデンの方が重い。保険料率について日本はOECD 平均より低いが、労働者の社会保険料負担率はOECD のトップクラスに入る。そうしたなか、労働費用に占める法定福利費(事業主の社会保障負担)は、小企業ほど重く、大企業ほど軽い。これは、大企業では法定外福利費を潤沢に出しているという側面と、厚生年金保険料の標準報酬最高限が62 万円で据え置かれているということの結果である。こうして、中小企業は違法なことをしてでも社会保険料負担を免れたい、自分が使う労働者に社会保険をかけたくないというインセンティブがますます強まっている。また、大沢氏は小泉政権と第二次安倍政権で非正規化が加速していること指摘した。こ21