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概要

20150714rikkyo

界に近づいているからである。最後に、農業とはその国の文化であり、歴史であり、風習である。つまりその国の成り立ちを示しているもので、それをなくしていくことはその国のあり方をすべて変えることになり、こういう議論をしないまま、市場原理だけを持ち込むことは非常に危険である。つまり、農業に市場原理を持ち込む自体が誤った経済政策であると考えられる。ではどうすればよいのか。21 世紀の日本の成長戦略は農業と観光産業であると思う。ただ、この視点は今の安倍総理、あるいは自民党が言っている農業や観光産業の保護育成とはまったく別の次元である。しかし、時間の制限のせいで、今回はこのようなビジョンがあることだけ示すことで終わりにしたい。大山氏)わたくし、立教大学で農業経済を担当しているから、もしかしたら同じことを発言したかも知れないが、専門の異なる方から話をしていただくととても心強いと思う。それでは、最後に、全体コメントを古沢先生にお願いしたい。古沢氏)わたくしのほうからは3 点ほどで今回のまとめをコメントしたいと思う。1 つは、国際的な動きが大きく変わり始めていることである。つまり、国連のこのような報告書、あるいはFAO の中で開発政策とか地域政策とか雇用問題、社会経済問題に対して大きな方向転換が生まれ始めているのではないか。特に、これまでの開発発展パラダイムでは農業の近代化(効率を上げて経済生産性を高める)であったが、実はそこではなくて単純な経済の効率化ではない、多様な可能性を見ていこうというと。農業の分野においてそれが一番大きな姿として、現象として今動いているのではないかと思われる。簡単に言うと、国連の中で、あるいは世界の政策の中で、その地域の企業としての農業よりも生活としての農業に多様な価値があることに対する視点がはっきり出てきた。2 つは、大きな転換というとそれが実際農業の分野でいうと、産業としての農業及び企業としての農業の流れがまだまだあるわけであるが、実際はそうではないあり方として、生活としての農業、あるいは社会的な農業、つまり、経済原理ではない生活原理、競争原理ではない共生原理が農業分野で明確に意識され始めた。さて、国連の今回の報告書をどのように理解するのか。それが3 つ目のことであり、実は日本という立場が非常に問われている。なぜならば、ヨーロッパあるいは世界の中で、家族農業のウェイトが非常に高い。一方では、アメリカ型農業、企業農業がある。その方向に対して日本は工業化、ポスト産業化、色んな形の近代化の流れの中で、先端化した国であるが、農業の分野においては、ある見方からにすると非常に遅れているように見られるものではある。つまり、沢山の家族農業があって、小規模農業があって、多様な農業形態がこれだけ近代化して産業化して工業化した国の中に存在しているということが、遅れたより新しい日本のモデルを世界に対して提起していく宝物を抱えている。この視点が重要であり、これを自分たちなりに直して、なおかつそれを世界に、国連の家族農業の方向性の中で、持参していくことが求められていると思う。残念ながらそれは十分できていない。今回、そういうことを改めて皆で認識するいい機会16