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概要

20150714rikkyo

大山氏)ありがとうございました。引き続き、郭先生からお願いしたい。郭氏)Jean-Michel Sourisseau 氏がパラダイムのシフトという言葉を使ったが、私もパラダイム転換の必要を改めて実感した。必要であると思ったパラダイム転換は、1 つには、従来の量的な成長こそ進歩であるという考え方を改めること、2 つ目には、大規模こそ効率であるという考え方を改善すること。3 つ目は、工業化こそ社会を豊かにするという考え方が20 世紀をおおい、21 世紀におけるパラダイムシフトの必要性を痛感させられる出来事が起こっている。私は、「市場の自由化と農業―TPP をめぐる問題と日本農業―」で、2 人の報告とは若干異なる観点から日本の農業と経済社会がおかれている状況について話したい。まず、日本の農業を取り巻く社会情勢から簡単に説明したい。日本における農家数及び農家人口の推移は減少している傾向であり、急激に減少している産業は日本の中では、農業のみである。また、日本は山地が70%、平野が25%であり、そのうち農地はわずか13.5%しかない。こうした日本の地形の特徴により、他の先進国の農地に比べて農業をするにはきわめて不十分な地形である。さらに、農業はGDP(2012年度)の1%しか占めておらず、農業に従事している人たちの平均年齢は2013 年の基準で、66.5 歳で、他の産業(製造業41.6 歳、情報通信業39.1 歳)に比べて非常に高い。このような状況により自由貿易、グローバリゼーションを推し進めようとする人たちから農業不要論というものが出てくる。しかし、問題はここからである。本当にTPP に参加することによって安倍総理が言うような国際競争力を持った農業が育成され、そして日本の農業が再生されるのか。2013 年に政府が発表したTPP 経済効果資料によると、TPP に加盟して10 年後の経済効果が3.2 兆円になるという。言い換えれば0.6% GDP を押しあげる数字である。ただ、この数字は10 年間ではなく、10 年後の数字であることに注意が必要であり、問題はこの後ほぼ横ばいで、それほど上がるかどうかわからないという点である。一方、同じく政府(農林水産省)から出た資料によると、農業自体に3 兆円の被害が出で、一番大きいのは米(34%)である。これをあわせるとTPP に入る意味があるのかということになりうる。TPP に入らなくても農業はいずれ衰退するという論は正しいのかどうか、あるいは、これに対して有効な反論なり、オルタナティブがあるかということにおいて、「衰退する産業=不要な産業」ではないし、農業は人の命を育む唯一の産業であるので、市場原理を持ち込むという発想自体はおかしい。財政的な負担が大きくても、国が責任を持って保護・育成すべき産業である。もしTPP に加盟して3 兆円の被害を被ると、耕作放棄地が増加し、離農者や兼業農家も増加する。特に、離農者は失業することになり、彼らを雇用する新しい産業を作っていかなければならない。これができなければ日本は失業問題及び雇用問題に直面することになる。それを救うだけの潜在な能力が今日本の経済にあるのかが問題になるが、個人的には非常に難しいと。なぜならば現在の日本の経済社会は成熟社会であり、モノづくりは限15