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概要

20150714rikkyo

ていただきたくてこのようなセミナーを開催した。国連を含めて色々な国際組織で2010年ごろから家族農業や小規模農業に関する報告書やレポート、国際会議などが出版されたり開かれたりしている。その一つが国連の報告書である。ピエール・マリーさんはその執筆者の1 人であり、特にリーダーを務めた方である。Jean-Michel Sourisseau さんも最近家族農業に関する本の出版をされている。そういうことで、2 人を招き、家族農業のあり方について、日本の社会が家族農業や小規模農業とどう向き合っていくのかを考えるきっかけにできればと思う。国際家族農業年の認知度を高めるために、色々なセミナーを開催してきた。2014 年3月には立教大学で無農薬バナナの民衆交易事業を紹介しながら、小規模農業の役割を再確認した。同年6 月には上智大学で「国際家族農業年と人々の食料主権- FAO のパラダイム転換を学ぶ-」を表題してセミナーを開いた。日本における国際家族農業年をめぐる動向において、2014 年初めに国会答弁で安倍首相は「家族農業をしっかり支援していきたい」といった。だが、これがどういう意味なのかは慎重に見る必要がある。農水省の食料・農業・農村政策審議会は5 年1 度「食料・農業・農村基本計画」を見直しているが、その見直しの案の中で、「兼業農家や小規模経営を含め、意欲ある多様な農業者を幅広く育成していきたい」が盛り込まれている。大規模化を目指している日本の農業政策の中において、このような文が国の基本計画の中に盛り込まれている自体が画期的であったと思う。日本の農業経営体数は2010 年農業センサスで168 万経営体があり、そのうち98%が家族農業である。また、日本政府の農業政策と政府開発援助を見ると、日本は戦後、大規模な持ち主の土地を分割して小規模な家族経営を作り出した農地改革を行い、この頃は食料増産への意欲が高かった。高度経済成長期以降は、GATT・WTO 体制という自由貿易を進める体制の中で、日本の農業は製造業輸出のための外交カードとして切り捨てられた。現在はFTA・EPA などが増加し、特にTPP 締結による一層の農産物を含めた貿易の自由化が懸念されている。そして農業経営については構造改革して規模を拡大する、企業の農業参入を促進していくという政策が農業政策の中心である状況が続いている。今、アベノミクスの中で言っていることは、農業・農村の所得を倍増することを言っており、農産物や食品の輸出によるとしている。自由化をして、輸出をして、農村の発展につなげる。そのために規模を拡大して企業参入を促進するという政策が戦後、ずっととられてきた背景としては、政府による市場介入・規制を行わず、自由な市場に任せることが経済・社会にとって望ましいという考えの普及が挙げられる。日本農業は、食料自給率低下、農業生産者の高齢化、耕作放棄地の増大、鳥獣害、限界集落などの問題に直面することになった。これは農業の再生産活動が限界になっていることを意味し、特に家族農業が危機に直面していることを表す。日本は政府開発援助(ODA)を通じて海外の、特に発展途上国のあり方にも大きな影8