学生時代の留学経験と人との出会いで、今がある

伊藤 健人さん カルビー株式会社 海外事業本部 米州担当 兼 香港担当(2015年 コミュニティ福祉学部福祉学科卒業)

2019/01/08

立教卒業生のWork & Life

OVERVIEW

コミュニティ福祉学部を卒業し、グローバルに活躍する伊藤 健人さんにお話を伺いました。

立教大学ではどのようなゼミに所属していましたか?

コミュニティ福祉学部では、大学3年次生からゼミに入ることが多いのですが、私は留学時期と重なったためゼミには入りませんでした。

その代わり、全学共通カリキュラム(全カリ/現:全学共通科目)という、学部を超えた授業を積極的に履修していました。中でも、健康心理学・ポジティブ心理学を専門とされている大石和男教授の授業が今でも印象に残っていますね。

大石先生の授業を通じて、考え方を変えることで精神的な負担を軽減できるということを学びました。「『どうせ』やってもという考え方から、『せっかく』やるんだからという考え方へ」意識を改革するものです。全てをプラス思考に変えるための、この考え方が当時の私にはすごく響きました。社会人になると「無駄なことはない」とよく聞くのですが、まさにそれを体現したような言葉を分かりやすく教えていただいたなと思いますね。

立教大学を選ばれたのはなぜですか?

立教大学を選んだのは、校風とそれこそ全カリがあったからです。他学部の科目が履修できることも魅力でした。学部にとらわれることなく、うまく時間割を組んでいろいろな専門の先生の授業を履修しました。この制度を最大限生かすため、池袋と新座にある立教大学の両キャンパスで授業を受けていました。
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留学は入学当初から決められていたのですか?

家族は海外に住んだ経験はないのですが、外国でも通じるようにと「ケント」という名前をつけてくれました。物心つく頃には海外での生活を思い描いていたように思います。立教大学入学当初から留学は心に決めていたので、大学1、2年次生の時は授業を詰め込みましたね。

それから大きかったのは、大学入学後に、外資系のホテルで2年ほど接客のアルバイトとインターンシップを経験したことです。募集はしていなかったのですが「スキルはないけれど、自分が憧れるような魅力溢れる人たちと携われる場所で見識を広げたい」と電話をかけアピールして、採用されました。そこでのジェネラルマネージャーとの出会いが運命的だったと思います。自分の人生観が180度変わるような出会いでした。

彼は、いかなる時も決して人への感謝を忘れない人でした。人種も年齢も超えて、いつも同じ目線で語りかけてくれる人でした。こんな人がいるのだと、こんな人になりたいと思うようになりました。私は、未知の世界とそこで出会える人との縁に関心があります。自分から飛び込んでいかないと出会えないような人たちと接したいという好奇心があったからこそ生まれた縁であったと思います。

「新しい出会い」への関心や好奇心から留学されたのですね。

はい。初めて海外に行ったのが、2013年、大学3年次生の時です。立教大学の派遣留学制度で、アメリカのオハイオ州にあるケント州立大学に行きました。たまたまなのですが、大学の名前が僕と同じケントだったのは、本当に大きかったです。名乗った途端、覚えてもらえましたから(笑)。違う名前だったら、そうはいかないですよね。

ケント州立大学でヒューマンコミュニケーションが専門の教授に出会ったのですが、その教授のご紹介があって、別の機会にコロラド州でホームステイも経験しました。

でも、最初は自己紹介以外英語で何も話せなかったんですよ。

どのように英語を克服していったのですか?

自分のアイデアで、「フレンドノート」というものを作っていました。簡単に言うと、人と出会うための週次の時間割の作成と記録付けです。
授業が終わった後の自由時間が、例えば6時間あるとしたら、その時間を2時間×3枠に区切って、それぞれのタームで、授業で出会った人や友達の友達など、いろんな人ととにかく会話をします。最初はマンツーマンでしたが、慣れてきたら、年齢や人数を段階別に変えて、最終的には一つのタームで10人ぐらい、バックグラウンドも知識も重ならないように集まってもらい話をしました。それが、英語が短い期間で話せるようになった一番の理由かなと思います。最終的に話した人数はのべ2000人を超えていると思います。

すごいですね。

何よりも気をつけていたのは、一度話した人の名前を決して忘れないこと。その人の特徴と出会った場所・日付、できれば趣味までを記録に残していました。次に会った時に話が続いたら、嬉しいじゃないですか。

英語の習得だけでなく、自分の成長にもつながると思ったので。環境が自分を変えたんだと思います。

現在、カルビーにお勤めですが、どのように就職活動されたのですか?

海運と総合商社とメーカーという産業界を中心に活動しました。なによりも大舞台において即戦力として活躍させてもらえる環境を求めました。カルビーは認知度はあるものの、実は売り上げや規模は同じような認知度の他の大手食品会社に比べるととても小さいと私は感じました。学生ながら、そこに見える今後の企業の伸びしろに魅力を感じたのです。

また、就職活動時に聞いたカルビーの松本晃会長の話が印象に残っています。松本会長は外資の風を日本企業に取り入れようという先進的な考えを持っている経営者で、「働き方改革」や「ダイバーシティ推進」はもちろんのこと、海外売上比率を将来的に30%まで引き上げるということを最優先事項として話していました。

組織としても、各従業員がC&Aという契約書で具体的な数字をコミットしていること、海外最優先という姿勢をトップ自ら陣頭指揮をとっていることが当時の私には新鮮に映りました。カルビーが今後、グローバルに躍進していく過程において、自分のキャリアを積むことができたら、その時にしか得られないものがあるはずだと思い入社を決めました。

立教大学のキャリアセンターは利用されましたか?

ほかの人の二倍、三倍ぐらい利用したと思います。

特に役に立ったプログラムは、模擬面接会。外部講師が面接官を務めてくださり、学生は、年次も学部もバラバラという本番さながらの状況なので緊張感を持って面接ができました。逃げられない環境に自分を追い込むことが何よりも大切であったと思います。学内で行われる会社説明会などにも積極的に参加しました。

現在のお仕事内容を教えてください。

カルビーの拠点が現地にあるかないかで業務内容は異なります。南米などの新たに拠点を設ける国では、まず会社を登記するにあたって市場調査となるマーケティングから始めます。そして、目星がついたら、会社を登記して設立をします。次に人の雇用や味とパッケージの開発業務、パートナー先への営業活動があります。そのあとはロジスティクス、物流の要素が入ってきて……その時のタイミングやフェーズでやることが違ってきます。「なんでも屋」「ジェネラリスト」という感じでしょうか。

一方、アメリカや香港などの既存国では、すでに会社が登記されています。会社の基盤がすでにあるため、事業を推進することに注力します。そのため、業務内容に関しては会社の外よりも内側を見ることが多くなります。例えば、お客様の声をどう改善につなげるかといった製品の品質管理、原価をどれだけ下げるかといったコストリダクション等、事業管理がメインの業務になります。

もともと海外事業の部署に行きたいと思っていたのですか?

はい。カルビーには、人事に関する様々な制度の中で「ドラフト会議」というものがあります。入社する前に、野球のドラフト会議のように、各事業部長の前で学生時代にやってきたことや今後の夢を話すものです。「私はこういうことをやってきたので、とってください」とアピールします。その時に今までお話ししたようなことを発表して、海外事業本部に行きたいと話しました。

大学で学んだことや経験が今のお仕事に生かされていると感じますか?

そうですね。大石先生の授業で聞いた、「『どうせ』やってもという考え方から、『せっかく』やるんだからという考え方へ」、というキーワードは本当に大切にしています。

例えば、私が担当している香港関連の事業では、資材の仕入れのための通関書類を準備したり、現地に届くまでの乙仲会社(海運貨物取扱会社)とやり取りをしたりするのですが、そういう時は本当に事務作業の連続です。「自分は何のためにやっているんだろう? 誰のためにやっているんだろう?」と考えてしまう時には、大石先生のキーワードを思い出して、自分を奮いたたせています。その場の感情に流されず、視野を広く持つことで見えてくることがあります。

もう一度大学に入り直すとしたら、また立教大学で学びたいですか?

はい、そうですね。全カリや留学も含めて、自分の裁量で自分のやりたいことを突き詰めて実現できる環境が整っていたと思います。高校3年生の時の選択は間違っていなかったですね。風通しのいい、自由な大学ですよ。

今後の夢を教えてください。

固まりきっていないのが正直なところですが、海外駐在を実現させることが一つの目標です。海外に行かなくてはいけないということではなく、人種も文化も異なる環境でどこまで自分が貢献できるのか挑戦したいと思っています。以前、海外駐在の機会がまわってきたのですが、2週間も悩んで断念したことがあります。今行ったところで持って帰れるものは少ないと総合的に判断したんですね。もし大学時代の自分だったら二つ返事で、何も考えずに行っていたと思うんです。自分に自信を持って、自分らしい武器、つまりこれに関しては絶対に負けないというものを持った上で、海外駐在を実現するというのが直近の目標です。
※本記事は伊藤健人さんへの取材に基づくもので個人的見解を含みます。
※本記事は「朝日新聞デジタル」掲載広告(2018年2月5日公開)をもとに再構成したものです。記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。

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