和辻哲郎『風土---人間学的考察』における
人間観と風土論に対する地理学的批判

史学科 世界史専修 山井 美智子 さん

 史学科の講義で批判的な文脈で取り上げられていた和辻哲郎の風土論に興味を持ち、この考え方が戦後に受けてきた評価について疑問を抱くようになったため、自分の考えをまとめたいと卒論のテーマとしました。
 いざ書き始めてみると、考察にオリジナリティーを出すことに苦心しました。和辻哲郎は先行研究の数が多く、それらの内容や傾向を把握するだけで時間がかかりました。その上、自分で思いついたつもりだった考察が先行研究から見つかってしまうこともあり、そのような時は自分の考察を補強する方法で適宜引用することで対処しました。
 卒業論文を書いて良かった点は、自らの学びを講義や本から得た受動的なものから、自分の考えを能動的に発信するという一歩先の段階へと昇華できたことです。受け身で得た知識を自らの考察として作り上げていくのは訓練が必要な作業であり、卒業論文の執筆はまさにその訓練となりました。また、大学で学んだことを聞かれた際、自信を持って話せる内容ができたことも良かった点です。
 史学科では卒論は必修ではありませんが、予備論文に比べてじっくり取り組むことができます。ぜひ卒論に挑戦していただきたいです。