聖書におけるマリア
――処女懐胎への言及に着目して――

キリスト教学科 川越 菜都美 さん

 キリスト教圏において、聖母マリアにまつわる伝承は音楽、絵画などの数多くの芸術の題材として用いられ、後世の社会に多くの影響を与えてきましたが、実は新約聖書正典各書ではマリアに関する記述は非常に限られています。私はこのわずかな記述から後世の教会においてどのように伝承が拡大解釈され、肉付けされ、マリア崇敬に発展していったかという過程に関心を持ちました。そこで、卒論ではマリア崇敬の主要な根拠の一つである処女懐胎に焦点を当てた研究を行い、ヘレニズム世界の概念であった処女懐胎が正典福音書に取り入れられた経緯や、マリアの処女懐胎伝承が成立したと考えられる年代を検証しました。
 実際に卒業論文の執筆作業を進めてみると、たくさんの欧文で書かれた先行研究を参照するのに想像以上に時間がかかってしまい、とても苦労しましたが、もともと大学院進学を考えており、修士論文に繋がる下地を作ることができたと思います。卒論に取り組む後輩の皆さんにアドバイスをするとしたら、できるだけ早めにテーマを決めて、遅くとも夏休み頃には着手することをおすすめしたいです。