「自己物語」の達成と「聞き手」の必要性
―向田邦子と森茉莉による「父親語り」の比較から―

教育学科 田中 佑奈 さん

 物語論は3年次のゼミ論文執筆時から関心を持っていました。物語論のなかでもあえて父親語りをテーマに設定した理由は、自分が抱えてきた「父親」に対する問題にしっかり目を向けようと思ったからです。卒業論文を執筆して良かった点はたくさんあるのですが、一つに父親との関係が変わったことが挙げられます。父親にどう接したらいい関係が保てるのか、一歩引いて考え、接することができるようになりました。これには卒業論文を書くことにより自己客観化ができるようになったことと、「自己物語」「父娘関係」というテーマに自身の問題を仮託したことによって、自分の考え方が整理され、様々な方向から関係性を分析する力がついたという2つの理由があると考えています。
 私の話を延々と聞いてくれたゼミ生や、指導してくれた先生との出会いは、卒論を書いたからこそ。自分の取り組みに、こんなにもたくさんの人が力を貸してくれる機会は、この先、あまりないのではと感じています。就職活動が忙しくても卒論は書けます。むしろ自己分析や面接での気づきが物語論につながって面白いなどと考えながら就活と並行して進められました。忙しいことを理由に、卒業論文執筆という多くの人と向き合える素晴らしい機会を逃してはもったいないと思います。