『篁山竹林寺縁起絵巻』の特質
――本文と絵を中心に――

文学科 日本文学専修 大下 真理子 さん

 卒論では、『篁山竹林寺縁起絵巻』を取りあげ、縁起に描かれている小野篁の物語と関連する説話の比較や、縁起の詞書と絵の対応についての考察、縁起をもとに作られた掛幅絵の比較を行い、それらを通して、縁起の本文と絵の特質を考えました。私はもともと中世や地域の伝承に興味があり、出身地の広島県に関わる物語を調べた際、この篁山竹林寺の創建と小野篁の伝説を描いた縁起絵巻の存在を知りました。『江談抄』や『今昔物語集』などの説話においても語られる人物である篁がこの縁起にも登場し、様々な説話と関連する物語が描かれている点に関心を引かれたのです。
 執筆にあたっては、本文や関連話を読む作業がとても大変でした。漢文調で仏教用語が多い文章と向き合い、ひとつひとつの用語を辞書で注意深く調べながら理解を深めていきました。とても大変でしたが、縁起と関連話を入念に比較することができたと思っています。そして何よりも、学業の面で初めて心から頑張ったと思える経験ができ、知識のない自分でも地道に取り組めば研究をやり遂げられるということを学ぶことができました。この経験は、この先何年経っても忘れることはないと思います。
 皆さんにも大学で学んできたことの集大成として、卒論で自分の興味のあることに一生懸命取り組んでほしいと思っています。