"Born in the U.S.A. "の政治利用に関する一考察

史学科 田口 慶直 さん

 私は卒論でアメリカのロック歌手、ブルース・スプリングスティーンの代表曲「Born in the U.S.A.」を取り上げました。論考では、同曲がレーガン大統領の演説によって愛国賛歌であると誤解された背景にはヴェトナム戦争の記憶を修正しようとする動きがあったこと、当時のブルース本人の言動からは同曲を愛国賛歌と解釈することは不適当であることを立証する試みを行いました。
 今振り返ってみると、先行研究や手に入る史料に限りがあるなかで、テーマ設定から、論考の検討、執筆にいたるまで常に悩んでいたような気がします。しかし、歴史学の視点からロック・ミュージックを論じるという未開拓のテーマに挑戦できた点、一つのテーマに関して時間をかけて取り組むことができたという点で、大学という環境でしかできない貴重な経験をすることができたと考えています。また、さまざまな課題や不安を抱えながらも最終的に卒論という形にすることができたことは本当に大きな喜びであり、この感覚は卒論を執筆してみないと決してわからない感覚だと思います。
 これから卒論に取り組む方には、自分が本当にやりたいと思ったテーマがあれば、多少の困難があっても素直に卒論テーマとして取り組んでみてもいいということを伝えたいと思います。