
文学に限らない、幅広い比較文化

立教大学のドイツ文学専修は、日独比較文化に力を入れています。日本の文化とドイツの文化を比較してみようとかいうことがメインで、いわゆる文学だけに限らないんです。
卒業論文を書くときも、何かドイツのことが絡んでいればテーマは自由ですよ、というところがあります。これまでの学生たちのテーマもさまざまです。 例えば、かまぼことソーセージはどう違うのか、とか、ドイツの年中行事を調べてみたりとか。もちろん文学もやります。ですから、ここは文学、思想、比較文化などを、幅広くカバーできるというのが大きな強みです。
比較に重きを置いているのは、相手のことがわかるようになるという面ももちろんありますが、比較をしないと自分たちのことが見えてこないからです。自分を知るための鏡として、ドイツが果たしてくれる役割はいろいろとあります。現地に行ってカルチャーショックを受けて、こんなに違うのか、と思うところもありますし、明治以降、日本とドイツの歴史は似ているところがあって、わりと取っ付きやすいという部分がある。でも、日本人とドイツ人は資質が似ているなどとよく言われていて、昔はそうだったかもしれないですけど、いまは全然違います。
それもあって、学生にはなるべくドイツに行けと言っているんですけどね。日本人が持っているドイツのイメージは、明治時代のイメージなんですよ。固いとか、まじめだとか。そのイメージでいまドイツに行くと、彼らはもう形式には全然こだわらないし、形式張ったことを嫌うし、だいぶ違います。 おそらく、その最先端のドイツを日本で体現しているのが、立教の独文専修ではないでしょうか。
複雑な言語と格闘する

カリキュラムとしては、1年生、2年生は主にドイツ語の習得が中心です。ドイツ語は1年生のときに一番やりますね。そのほかに、ドイツの文化などを調べて発表したりする授業もあります。
2年生以降は、講義で文化関係のことなどをかなりいろいろとやります。そして、演習(ゼミ)で自分の興味のあるところにいって、卒論を仕上げる、という流れです。 ドイツ語は、言語的にはちょっと複雑です。英語に比べると明らかに複雑で、フランス語と比べても少し複雑です。そこに慣れるまでは少しきついかもしれないですね。
ドイツ語では、何かものを言うときに、人称や時制など、いろいろと気にしなければいけないことが英語の3倍くらいあるんです。簡単かどうかと言われると、簡単ではないですよ、と言わざるを得ない。ただ、それを一人でクリアしようとするとつらいですから、独文にきて一緒にがんばろう、と皆さんには言いたいですね(笑)。
立教の独文では、ドイツ語を勉強するのは文学作品を読むためだけではなく、いろいろな社会や文化に関する情報を得るためにドイツ語をできるようにする、というスタンスで取り組んでいます。 自分でやってみて改めて思うのですが、ドイツ語は情報量がすごく多い言語なんです。イギリスやフランスもそうですが、ドイツは19世紀にすでに先進国でした。そういった地域の言語、また科学などでも先端を行っていた国の言語というものは、その背景に持っているノウハウや、知の蓄積にすごいものがあるんです。日本に比べたら100年以上前からやっているわけですから、そういう意味では、ドイツ語ができると強いです。 それに、ドイツでは学術出版物も、日本に比べるとかなり多く出版されています。ですから、知識の蓄積や情報発信ということに関してドイツ語は強いですね。日本語に比べると圧倒的に強いと思います。
異質なものに適応できるのが「若さ」

留学について言うと、文学部の授業の中で、1ヶ月ドイツに行くサマーコースがあります。また、1年程度の長期の留学では、立教大学の協定校に派遣留学という形で、毎年6人まで枠があります。だいたいその枠はフルに埋まるので、それ以外の学校に行く人もいます。留学する学生は、1年に合計10人くらいでしょうか。もう少し行ってもいいかなと思うんですけど。
留学した学生は、やはりたいていはたくましくなって帰ってきますね。日本の常識が通じないところにポンと放り出されてもまれるわけですから、人のせいにすることはできない、自分で責任を持ってやらないといけない、そんなところはしっかりしてきます。それに、若いときに行くと対応力があるので、たとえ知らないもの、違ったものが出てきても、そんなの嫌だと言わない。年をとってくると嫌だと決めつけがちですが、わりとそこで順応してくるんです。そういう意味でも、適応力があるうちに外国に行っておくのはいいことだと思います。
就職について言えば、独文で学んだことは基本的に仕事に直接関ってくることは少ないですが、自分で興味のあることをきちんと調べて発表できるというスキルは身についていると思います。それと、粘り強さも。 異質なものに興味がある、外を見てみたい、異質なものに触れてみたい、そんな人たちにはぜひ独文に来てほしいと思います。ドイツは、ゲルマン民族のイメージが強くありますが、実はさまざまなカルチャーが混ざっている場所です。現在では外国人の比率も高く、そういう意味でも雑多です。外国人との共生などではいろいろと問題も出てきていますし、将来的に参考になるような面、反面教師にした方がいい面などいろいろなことが学べると思います。

