院長メッセージ

変わらぬものを見据えつつ

立教学院院長 広田 勝一
立教学院院長  広田 勝一

現在、わたしは日本聖公会北関東教区主教ですが、当教区の初代教区主教は立教学院の初代理事長のマキム主教です。マキム主教は、江戸監督※として立教の創立者であるウィリアムズ主教の跡を継ぎます。マキム主教聖別式の折になされた説教は「主はわが牧者なり」という聖書の言葉でした。この「牧者」を具体的に示したのがイエス・キリストです。マキム主教は、ご自分の後継者とされたライフスナイダー主教にこの言葉を伝えます。ライフスナイダー主教は北関東教区第2代主教ですが、立教学院の総理、理事長も長く務め、「Pro Deo et Patria ─ 神と国のために」の標語と、楯のマークを定めたと言われています。「主はわが牧者なり」という表現は見られませんが、このマークには立教のあるべき姿が見事に表現されています。立教学院は「キリスト教に基づく教育」をその目的とし、真の見えざる牧者がわたしたちの前に立ち、共におられるという信仰、これが底流にあります。

振り返りますと、十数年前の立教大学チャプレン時代、池袋・新座キャンパスでは次々に新築工事が始まりました。また当時、大学では「変わらない理念が立教を変えていく」との標語が打ち出されました。「変わらない理念」とは何か、ある辞典には「ものの原型として考えられる、不変の完全な存在」とあります。しかし聖書には、明快で親しまれてきた「イエス・キリストは、きのうも今日も、また永遠に変わることない方である」という言葉があります。わたしにとってはこの聖書の言葉が先にきて、学校という存在を規定していくのはイエス・キリストなのだと理解し、それが立教の創立者ウィリアムズ主教の理想(心)でもあったと思います。

また、近年、立教学院史資料センターにより、多くの資料集等が発行され、新しい資料も加えられた詳細な学院の歩みも概観できます。さらには、教学面での各校の一貫連携教育、大学の新たな時代に向けた学部増設と教室棟の整備等も立教を大きく変えてきています。また法人としての新理事会体制もそうです。就任にあたり学院の歩みを見るにつけ、この20年近くの立教の変化に正直驚きを感じる一方で、「変わらない理念が立教を変えていく」との標語が脳裏をよぎります。早くも院長という重責に圧倒されつつありますが、創立者ウィリアムズ主教の思いを想起し、立教を立教たらしめている根幹をしっかりと見据えて、建学の精神を深めていきたいのです。

最後に、立教学院は、現在小学校から大学における「一貫連携教育」を推進しています。各校では「キリスト教に基づく人間教育」を基本に据え、共通する二つの教育目標を掲げ、取り組んでいます。「テーマをもって真理を探究する力」「共に生きる力」が一貫連携教育の2本柱です。この「一貫連携教育」が現在の立教学院の大きな特質となっています。院長として、この特質を生かす一助となるように努めていきたいと思います。

※明治初期、米国聖公会は日本伝道区を治める主教を「江戸監督」とした。

(2010年8月)

理念

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