2010.07.09
| 開催日時 | 2010年7月9日(金) 18:30-20:30 |
| 場所 | 立教大学池袋キャンパス 7号館7101教室 |
| 講師 | 諸橋泰樹氏(フェリス女学院大学教授) |
| 参加人数 | 約60名 |
| 実施後記 | ジェンダー研究の草分け的存在である諸橋泰樹先生(フェリス女学院大学文学部教授)をお迎えして、メディアとジェンダーという切り口で講演をしていただきました。 諸橋先生は、まずはじめに、ヒトはどのような環境のなかで性別化され、「人間」となっていくのかということを、社会化という概念でお話されました。私たちの生きる現実は、1)地域、2)家族、3)学校、4)メディアによって構成され、そのなかで私たちは価値や規範を身につけながら成長していきます。 そして、現在、上記の1)から4)の社会化のエージェンシーのなかで、趨勢を誇っているのが4)メディアです。現代においてメディアは大事な社会環境であり、メディアの揺りかごのなかで私たちは生きていると、諸橋先生はお話しされ、同時に、メディアが社会的・文化的文脈で構成されているということも強調されました。 さらに、今年度は、ジェンダーフォーラム公開講演会初の試みとして、前半1時間のご講演を踏まえ、後半は参加者の方々とワークショップを行いました。 「小学校低学年からの性教育は必要かどうか」をテーマにしたテレビ番組素材を観ながら、参加者は事前に配布したワークシートに、番組内でどんな音が使われ、何が映っているのか等を書き込みました。性教育に対して危機感を煽る映像、それを受けての出演者の議論、最後に番組の中心人物による一方的なメッセージが流れる番組構成について、諸橋先生自ら会場を歩きまわり、参加者にマイクを向けて意見を聞きました。参加者からは「(出演者の服装が)宗教的」「出演者にジェンダーや性教育の専門家がいない」「(中心人物の声が)恫喝的」という指摘が次々に上がり、そもそも番組内でのアンケートが演出ではないのか、という刺激的な意見も飛び出し、会場は大いに盛り上がりました。 何気ないテレビ番組の中にも、ある種の政治的なメッセージがこめられており、そのなかで巧妙に音楽やコラージュなどを使いつつ、(その効果はどうであれ)性教育についてのイメージを現実として構成させようとしていること、そして、実際、私たちはそうした構築されたメディアを観ながら、現実を構築してしまうことを、ワークショップという形式を通して分析することができました。 けれども、その一方で、私たちはメディアによる構築、構築されたメディアについて自覚的になり、批判したり笑い飛ばしたりしながら、少し距離を置いて番組を観ることができるということ、そうしたメディアリテラシーが、現在、とても必要とされているということを、諸橋先生が最後にズバリと仰ったのが印象的でした。 【参加者アンケートより】 ・ふだん何気なく気になっていたメディアの構成編集について、改めてその問題の大きさを気づかせてくださいました。 ・メディアを批判的に読み解く方法を学べて良かった。当たり前とされる「性の表現」を疑問視することで、性を超えた「人間として」の在り方を見つめられる様になるのではないかと思った。 ・エキサイティングな講義とワークで充実していました。誠実に話をする講師に、改めて感心しました。 ・音楽や、テロップ、人物の姿形、表情、声のトーンなど、総合して考えることの難しさ、楽しさが味わえておもしろかったです。テレビを見る意味はないと思っていましたが、こういう視点(懐疑的というと言い過ぎな気がしますが)で見る分にはとても興味深い教材になると思いました。 (事務局作成) |
講演される諸橋先生
ワークショップで活発な意見交換がなされました