2009.07.31
| 開催日時 | 2009年7月7日(火) 18:30-20:30 |
| 場所 | 立教大学池袋キャンパス 8号館8101教室 |
| 講師 | 山田昌弘氏(中央大学教授) |
| 参加人数 | 約200名 |
| 実施後記 | この講演会で山田昌弘氏が趣旨としていたのは、格差社会の中にある現代日本では、男女平等を望まない若年女性が増えているということ、またその理由として様々なことを指摘することだったように思う。私は、この講演会によって、ジェンダーと格差社会のつながりについて、おもしろい切り口をいくつも見つけることができた。 その日、私は講演会が始まるかなり前から、席を取っていた。前から三番目の席だ。講演会が始まる30分前になっても、八号館一階の広い教室はガラガラだった。「あんまり人は来ないのかもしれない」そんなことを考えながら、配布された資料を熟読していた。しかし、数十分が経って、講演会の主役である山田氏が入ってきた時、それに気がついて驚いた。さっきまでガラガラだったはずの教室が、ほとんど埋まっていたからだ。満席ではなかったが、後ろを振り向くと、たくさんの人が座ってプリントを読んだり、話をしていた。学生だけではなく、年配の方など、幅広い方が来ているようだった。格差社会というキーワードか、はたまた講演者の山田氏か、どちらにせよこの講演会がかなり多くの人の興味をひいたのだなと思った。 講演会は、山田氏が気になる調査結果の紹介から始まり、男女平等を望まない若い女性が増えているということを指摘していく。男は外で働き、妻は家庭を守るべきであるという考え方に対する、女性の賛成率の推移を見てみたり、結婚して子供が生まれても仕事を持ち続けた方がよいという意見の賛成率の推移を見たり。15〜22歳の女性のなりたい職業、してみたい仕事を見たり。これらのデータや、山田氏自身が大学で教えていて経験したことをふまえて、専業主婦志向や女性性、女らしさを売りにしている仕事志向が増えていることを指摘した。 では、なぜ男女平等に反するような状況が増えてきてしまっているのか。これについて山田氏はいくつかの要因を挙げた。一つは、日本の男女平等推進は、同時期に能力主義の徹底、格差社会というものと出会ってしまったこと。能力主義は本来、女性差別を生まないはずだ。なぜなら、性別に関係なく能力のある者を評価するのだから。ただ、徹底した能力主義は、学歴が無い者、能力の無いと評価される者を不安定な世界に追い込むことになる。不安定、不十分な非正規雇用の待遇。それは個人の努力が足りない、自己責任だと言う人もいる。ここに、能力のあると評価された者と、そうではない者の対立が見えてくる。今、非正規が行っている定型単純労働は誰かがやらなければならないものだ。その誰かがやらなければならない者をやっている人たちがなぜ低く評価されるのか。不安定、不十分な仕事しか望めないという社会の中で、能力が無いと評価されてしまった若年女性の戦略的行動が、専業主婦志向、女性性を利用する仕事志向なのだ。能力主義、自己責任論などが見え隠れする現代社会の問題、格差社会。格差社会がジェンダー構造の再構築、補強と密接にかかわり合っていることが話されていく。 山田氏は、「年金をもらっている祖父母が自分の孫の年金保険料を払っている」とか、「月収5、6万で、婚活しています。俺が好きなら一緒に苦労してくれる。」とか、笑えるようで、笑えない、けど興味深い話をおりまぜながら講演会を進めていった。興味が途中で切れることの無い聞きやすい講演会だった。この講演会で得た切り口を、自分の勉強に役立てていけたらと思う。 (経済学部3年・河野晋平さん) |
幅広い年齢層の方が参加されました
講演される山田先生