2011.12.22
本学の大学院は、90年代半ばからこれまでに、博士課程前期課程の在学生数で約2.5倍、同後期課程で約1.5倍の規模にまで拡大しました。研究科の数も増え、質的な多様化も進みました。
「大変化を遂げた今、本学の大学院はどのような課題を抱えているのか。」このような関心をもとに、本センターは2006年以降、本学大学院教育の課題発掘を目的とした調査研究を行ってきました。2年間ほど取り組んだ調査の結果、後期課程における学位取得までのプロセス構築が重要な課題の一つとして指摘され、博士号取得に至るためのステップの明示、学位論文提出条件の明示等が当時の課題として挙げられました。
このような指摘を受け、2010年から本センターは、大学院生を学位取得へと導くために他大学はどのようなステップを構築しているか、支援をしているかということを調べはじめました。折しも2011年の1月には、大学院教育についての中教審答申が発表され、優秀な博士号保持者をコンスタントに輩出する大学院教育の構築が急務と述べられています。この答申をどう読むかについては議論が必要ですが、大学院教育に対して社会的関心が高まっていることは事実ですし、また、後期課程の学生が博士号を取得するということ、大学が博士号を授与するということの重要性は、以前にもまして高まっているといえるでしょう。
本シンポジウムは、このような状況を鑑み、本学として博士後期課程の教育を改めて見つめなおすきっかけになればと考え、企画したものです。ご講演者には、上述の他大学調査や文献調査の過程で存じ上げることができたお二人の先生をお迎えいたしました。
名古屋大学高等教育研究センター准教授でいらっしゃる近田政博先生には、博士後期課程教育の中核を占める研究指導という方法が、教員にとって、また現代の大学院生にとって、なぜ難しいのかという点を、深く掘り下げてお話し頂きました。また海外の大学院教育に関するご研究の成果も交えながら、研究指導の困難を克服していくための方策について、仮説と提案という形でご提示頂きました。
一橋大学理事(教育・学生担当)・副学長でいらっしゃる落合一泰先生には、同大の社会学研究科における数々のご実践の中から、ご自身が研究科長として先導なさった大学院GPプログラム「キャリアデザインの場としての大学院-入口・中身・出口の一貫教育プログラム」についてお話し頂きました。同プログラムの特徴は、アカデミック・キャリアを指向しているとは限らない現代大学院生の多様なニーズに基づき、その副題にもあるとおりトータルに教育プログラムの網を構築したという点です。落合先生には、具体的なデータと分析をもって、このご実践の成果と、残った課題についておまとめ頂きました。
当日は関西圏の大学からもご出席頂き、ディスカッションも盛況のうちに閉会を迎えました。また学内外の教員、職員、学生、社会人と多様なバックグラウンドの方々にご出席頂きましたが、参加者アンケートではおしなべて高い評価を頂くことができました。
ご講演頂いた近田先生、落合先生、そしてご参加頂いた皆様に改めて御礼申し上げます。
なお、ご講演から質疑応答・ディスカッションまでを収録した冊子を、大学教育開発研究シリーズNO.15として2012年3月ごろに発行する予定です。
近田 政博 氏(名古屋大学高等教育研究センター 准教授)
落合 一泰 氏(一橋大学 理事(教育・学生担当)・副学長)
河野 哲也 氏(大学教育開発・支援センター センター員、文学部教授)
近田 政博 氏
落合 一泰 氏